会長挨拶
細野 茂春
(自治医科大学附属さいたま医療センター 小児科・周産期科 教授)
この度、第67回日本新生児成育医学会・学術集会を開催させていただくこととなりましたことを大変光栄に思っております。本学術集会は、2023年11月2日(木曜日)~4日(土曜日)にパシフィコ横浜において開催いたします。第67回日本新生児成育医学会・学術集会は横浜での現地開催を予定しております。本学術集会は2023年11月3日(金曜日)~4日(土曜日)に月山寛子会長が担当する、「第32回日本新生児看護学会」との共同開催となっております。新生児看護学会とは、合同招請講演や合同シンポジウムなどの企画を通して有機的な連携を持って運営に臨みたいと考えております。
本学術集会のテーマは、「NICUを飛び出そう」です。日本の新生児医療は世界最高水準を維持していますが、COVID-19の影響もあり他施設との対面での交流、特に国際交流の機会が極端に減少してしまいました。新生児医療は特殊な医療で新生児独自なものも数多くありますが他領域から学び取り込むべきものも少なくありません。またNICUは多くの生体データを取得していますが決して有効に活用しているとはいえません。世界的にはAIによるビッグデータ解析により新たな知見がもたらされてきています。残念なことに生まれてきた児全てが障がいなく育って人生を全うするわけではありません。障がいを持った児が切れ目ない支援を受け成人医療に繋ぐかを考えるのも日本新生児成育医学会の重要な役割の一つです。こうした中、本学術集会のテーマである「NICUを飛び出そう」とは、NICUの外の世界に積極的に飛び出すことによって、見えなかったことが見えてくることがあり、解決できなかったことが他領域の力を借りれば解決ことができることを知り、NICUの良い点、悪い点を客観的に評価できるようになることを期待します。「飛び出そう」とはNICUの医療から退くのではなく、NICU外の世界を経験した人が新たな知見を携えてNICUに戻ってきて新生児医療のさらなる向上に尽力していただきたいという思いを込めた言葉です。研究なくして医療の進歩はありません。本学会では海外の最先端の研究者を複数名招聘する予定です。また今後主流になるAI研究についての講演も予定しています。新生児医療がここまで発展して来られたのも行政のサポートが得られるよう仕組みを作り上げてきた先人のおかげです。厚生労働省の現役の医系技官と厚生労働省での勤務経験のある先生方にもご講演いただく予定です。子どもたちの未来ためにともに語らい、議論していければと考えております。昨年に引き続きハンズオンセミナーなども企画しております。多様性の時代でWeb会議の良さも充分認識した一方Web会議によって対面で議論の意義が再確認できその必要性が高まったと思います。多くの皆様に御参加いただき、学術集会本来の医師、看護師、メディカルスタッフ、企業の皆様が一同に集い双方向性に議論出来る、時間と場所を共有する場にしたいと考えております。
昨年と引き続き横浜ではございますが、皆様にお会いできることを楽しみにいたしております。皆様のご支援のほどよろしくお願いいたします。